「不増不減」(ふぞうふげん)の意味:数に心を砕かない、本質は変わらないと説く
禅は文字を嫌いますが、数字も問題としません。量の大小を気にしないというある種の決意を現す禅語を深掘っていきます。
【目次】
読み方と意味
ふぞうふげんと読みます。
出典
般若心経に出てきますね。
般若心経ではふーぞうふーげんと読むのが一般的です。
呪文のように「ふーぞうふーげん」と読んだ方が、唱える場面ではしっくり来るかと思います。
直接的な意味
そのままですが、「増えもしない、減りもしない」という意味です。
含意を考える
- 成績などの数字そのものに意味はない
- 年を取っても、赤ちゃんでも、変わりはない
- お金持ちもホームレスも、変わりはない
得ようとするば、1つ失うというような意味で捉えてよいかと思います。
お金で幸せは買えない
実際、こちらの米国の統計では収入の増加と幸せの関係が比例していかないことを示しています。
忘れることも重要
何かを学ぶことも大切ですが、最近はアンラーニング(学習棄却)にも注目が集まっています。
アンラーニングとは学ぶ(知識を得る作業)の反対ですから、忘れるという作業ということになります。
アンラーニング(unlearning)
自分の中に蓄積された知識や形成された価値観を見直して消却していくことで、新しいものを取組み、再構築していくこと。これにより、これまでの延長線上にない発想、創造力、発見が実現するとされる。「学びほぐし」や「学習棄却」と訳される。
捨てることで、はじめて
得られる
これまでの経験・知識を捨てることで、新鮮な知見を自分のなかで再構築していこうという考え方です。禅らしい考え方と言えます。
その上で、仏教は結局は不増不減であると説きます。すべては流転していて、全体としては何も変わっていないという不易流行の達観とも言えます。
実践的思考
多くを欲しがることを勧めない、心に余裕を与えてくれる言葉といえます。
- 多くを持っている人をむやみにうらやましがらない(結局みんな同じである)
- 何かを得ようとするならば、何かを捨てないといけない(すべてをかき集めて自分のものにはできない))
まとめ
不増不減は、数というものの幻想を私たちに悟らせる言葉とも言えます。成績、売上、体重、株価、年齢。日常においては対峙しなければならない現実もありますが、その多い・少ないに心を疲れさせられないようにしたいものです。