座禅で精神を鍛え、健康になる。心を豊かにするマインドフルネス

マインドフルネスと坐禅

マインドフルネスとは心が充実していることです。一つのことに集中にして丁寧にやっている状態こそが、心が充実した状態とえます。座禅とは、座って呼吸するという最小単位の行動に集中することで、マインドフルネスを実現しようという試みです。その上で、心の充実を生活全般に拡張してこうというのが、座禅をやっていくことの意図です。

覚悟を決めること、すなわち肚を据える

禅では端的に、腹式呼吸で日常生活に臨むということを勧奨

座禅は腹式呼吸で行います。腹式呼吸はへその下あたりを使って呼吸するということで、肺あたりで呼吸するよりも深い呼吸をすることになります。こうすると副交感神経が使われるとかリラックスできるということになりますが、座禅の狙いの一つとしてはこの呼吸を日常においても実践していこうという点があります。日常生活においても冷静さを保ち、本質的に思考し、適切な判断をするということができればこれは大いに意義のあることがだと思いますが、その冷静さや本質的思考、適切な判断というのは具体的に何なのか、抽象的で雲をつかむような話になってしまいます。禅では端的に、腹式呼吸で日常生活に臨むということを勧奨します。

難事にあたっても急場に直面してもまず腹式呼吸

物事の本質を冷静に考えようとすることは困難な所業ですが、難事にあたっても急場に直面してもまず腹式呼吸してみようということであれば実践可能です。難事・急場に及んで呼吸が浅くなり心拍数が上がって、それでちゃんと考えないとダメだと慌てられてしまうと目も当てられません。日常生活は常に不確実性に富んでいて複雑な事情が入り組んでいて、時に突発的です。そのような場面で日々の座禅で腹式呼吸を訓練している人は変わらず淡々とそれに対応することができます。

開き直りとは、直面すべき現実と完全に対峙してそれを受け入れること

どちらか決めないといけない場面で、必ずいずれにしてもマイナスを被るというような困難か決断を強いられる場面でも文字通り肚を決めて決断できます。どうにもらならないことを動転したりせず、なるようにしかならないという開き直りができるようになります。開き直りというと悪い風にも聞こえますが、実際には開き直りとは直面すべき現実と完全に対峙してそれを心を開いて受け入れる、断固としてその現実を受け止めるということで、とても重要な肚の座り方だと思います。最悪の想定、人の最も美しくない側面をしっかり受け止めて受け入れるのが、座禅の効用であり、すなわち仏の姿ということだと思います。

理想の人は、現実をみる人

多くの人は仏に理想を求めますが、仏は逆に理想を求めず、人々の現実を受け入れる人なのだろうと思います。現実を受け入れられずに理想を求める人々という現実を受け入れる人が、人々にとっては理想の人として受け入れられるというわけです。少し複雑なロジックになりましたが、実際そういうことはあるように思います。

よく噛んで味わって食べる

そうして私の場合、9時以降にご飯を食べるのですが、よくお腹も空いていて、朝4時過ぎに起きて座禅して掃除して仕事をして、文字通り朝飯前に色々片付けているので精神的にも充実した状態で、朝ごはんを食べることができます。そうすると、朝ごはんがとても美味しく食べることができます。何を食べるかも大事になってきて、よい朝ごはんを作るようになります。

私の場合はご飯・味噌汁・お新香の類にするか、グラノーラにするか、或いはその両方にするかですが、いずれにしても自分で作って食べます。そうして、よく噛んで味わって食べるようにしています。

世界一美味しい贅沢な食事

朝5時の座禅がなければ、この美味しく贅沢な朝ごはんを食べることはできません。朝の座禅があるから、朝の仕事もはかどり、自分の体や食事に敏感になり、自分に必要なものをこしらえて食べることになります。立派なホテルに行けば、朝ごはんを3000円とか10000円払ってそれなりのものを出してくれるでしょうが、それが贅沢とも自分に必要とも思えません。

快適な生活のリズムのなかで早朝置き、やるべきことをやり、腹を空かしていれば、炊き立てのご飯に塩を振って食べるだけでも世界一美味しい贅沢な食事になるでしょう。ゆっくりと噛んで、すべてに感謝して食べれば、本当に幸せなことです。五観の偈を唱えればそれが実感できます。

もし遅く起きていたら

もし遅い時間に起きたら、朝空腹を感じてから朝食を食べることができません。あまりお腹が空いていないのに、無理やり何かを食べて出かけるといったことになります。美味しくないですし、体もまだ求めていない状態ですから体によくもありません。遅く起きていたら、朝の空腹状態+脳と体がリフレッシュした状態という最高のコンディションで爆発的に仕事をすることができます。

部屋を片付けてもいいですし、実際に仕事をしてもいいですし、何をしても実に生産性の高い時間です。お腹が空いているので、力仕事をする時間としては向いていないかもしれませんが、デスクワークや何かを順序だてて系統立てて考える時間としては最高です。

忘れていたことを冷静な沈思のなかで思い出すというのはいいことだと思います。やり忘れていたこと、あの人にお礼を言っておこうというようなことでもよいと思います。別のアングルからみればこれはやることを決めるという瞬間になるということですから、何かの決断の瞬間にもなるということです。

逡巡していることがあれば、そのことが座禅中も頭をよぎるのはやむを得ないことだと思います。すっかり忘れてすっきりして座禅後にそれに取り組むのが本来でありベストですが、そうでなくこうしよう!と座禅中に肚が決まってもそれは悪いことではないと思います。そしてこの肚が決まるというのが座禅の効用の次に紹介する意義ということになります。