有水皆含月(みずありみなつきをふくむ)
誰にでも悟りは訪れるというポジティブな禅語
秋の夜を静かに、穏やかに過ごすための一語です。
ポジティブで愉快な気持ちになれることと思います。
出典
公案などを総合的にまとめた14世紀の書に記述があります。
禅林類聚(ぜんりんるいじゅう)
有水皆含月
無山不帯雲
書き下し文
水(みず)有り、皆(みな)月を含む 山として雲を帯(お)びざるは無(な)し
意味
月が出て、川にも湖にも、池にも水たまりにも、杯の酒にも、月が映っている。
雲がかからない山はない。
短い言葉で、言っている意味は分かりますが、真意を得るには少し難しいところがあります。
次に、禅の文脈での意味を紐解いていきます。
禅の文脈での意味
「水」は禅語では多くの場合、淡水の川、湖などを指します。(コップの水などを指す場合もあります。)
「月」は悟りを意味します。
したがって、どんなものにも仏性はあるし、誰であっても悟りを開けるという意味になります。
「雲」は、悟りの「月」を遮る存在です。
「山」は座禅をする人の暗喩としても用いられます。
すなわちここでは、座禅に取り組む人にも、どれほどの人物であったとしても悟りを遮る雲(邪念)は訪れるという意味になります。
励ましと慰め
「だれでも悟れる」という励ましの第1句と、「だれにでも煩悩は訪れる」という慰めの第2句というコントラストの効いた対句です。
「有水皆含月」はしたがって、ポジティブな意味合いをしっかりと受け止めるべき一語と言えます。
どんな川・湖・池にも、どんな動物にも仏性は宿り、どんな人にも悟りは訪れるということです。
励ましの真意
川の水も、グラスの水も、形態は違いますが水が溜まっていれば、月の光を映し出します。
もちろん、グラスのかたちによって月の光を映さないということはありません。
人それぞれが一様に光を受ける
人の見た目も中身もいろいろですが、一様に月(悟り)の光を受けることができるとこの語は言っています。
実に心にやすらぎを与え、生きる力を与えてくれる言葉といえます。
「有水皆含月」を理解すると
「有水皆含月」を理解すると、心地よく愉快な気持ちになってくるはずです。
同時に、他者を尊重する気持ちが溢れてくれば、「有水皆含月」の真意を掴んだと言えるでしょう。
まとめ
時に満月の夜も土砂降りの見舞われます。
私たちの人生もしかりで、ずぶ濡れになったような気分の日もあります。
雨が降ったらそれぞれに思い思いの傘を差し、楽しくいきましょう。
月がだれにでも訪れるように、雨もだれにでも訪れますから。
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