坐禅を無心で行う効果とは:雑念やストレスを減らし、健康を取り戻す
座禅の効果は色々言われていますが、本来的には座禅そのものが目的であり、何かの手段として座禅をするわけではありません。
しかし、実生活へのインパクトがないというわけではありません。雑念やストレスを軽減し、様々なポジティブな影響がもたらす力が座禅にはあると言われています
座禅にはストレス解消効果がある
坐禅は心の自然治癒力を高めると言われています。さまざまな論文でも、坐禅時の瞑想は、ストレスへの抵抗力を増す効果があると発表されました。医療分野においても、不安や抑うつ症状に大きな効果があるとしたエビデンスがだされています。
精神療法のひとつとして取り入れる医療機関も少なくありません。
人にまつわる雑念
人間関係の悩み
坐禅は、人間関係の悩みに囚われ、他のことが手につかないときにもおすすめです。アドラー心理学では「人生の悩みはすべて対人関係の悩みである」としています。このように、人間関係の悩みは生きていくうえでなくなることはありません。
しかし、坐禅の効果で、人間関係の悩みに執着することはなくなっていきます。また、人間関係で腹が立ったり傷ついたりするのは、他人への期待や欲求が多いからとも言えます。坐禅では私欲から開放され、あるがままのその人を受け入れるようになるのです。
死別の苦しみ
坐禅では、死別で悲しまずにすむのではなく、深い悲しみを受け入れられる心の状態に導かれます。旅立つ人との別れに際し、坐禅を組み弔うことで、心は落ち着き静かなお別れができるでしょう。
悲しみはやがて、故人への敬意や感謝に変わります。その結果、いつまでも悲しみを引きずるのではなく、自分の人生を生きていく決心ともなるのです。死別を通して「死」と「生」について考えることとなり、禅の世界の扉を開けるきっかけにもなるかもしれません。
離婚、別居の悩み
坐禅は、人生において大きな決断を迫られるとき、最適な判断ができるようになります。離婚や別居では、忍耐が大切と関係を続けるか、新たな人生のために別れを決断するかと悩むものです。
たいていは、将来を見据えた損得勘定で思考を働かせるでしょう。坐禅では、損得勘定から離れ、自分たちにとって真にベストなものを直感で判断できるようになります。同時にその判断にも、後悔が伴うことがなくなってきます。それは、複雑な思考の奥に押しやられた、真の心の声がわかるようになるからです。
体や健康にまつわる悩み
不眠の改善につながる
坐禅時には、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」が分泌されるとわかっています。
このセロトニンは、睡眠ホルモンと呼ばれる「メラトニン」の原料です。メラトニンが少ないと、寝付きが悪かったり睡眠時間が短くなったり睡眠に支障をきたします。よって坐禅は不眠でお悩みの方にもおすすめです。また、仰臥禅という寝たままの状態で行う坐禅もあります。
寝る前に仰臥禅を取り入れることで、深くリラックスし、自然な睡眠が訪れやすくなるのです。
病気、けがの予防につながる
坐禅は、病気やけがの予防にもおすすめです。坐禅での深い呼吸では、血流が2割アップすると言われています。酸素や栄養が体の隅々に運ばれ、各臓器や組織が細胞から活性化し、体調を整えてくれるでしょう。
もちろん、脳でも同様の現象がおきています。頭がスッキリし注意力が増すため、不注意によるけがも防げるのです。また、正しい座法を続けることで姿勢が整い、動きのパフォーマンスも向上します。自律神経のバランスも整うなど、健康の増進効果も大いに期待できるのです。
漠然とした不安の解消
坐禅の瞑想には、不安の低減があり、医療的・心理的に効果があると研究結果でも示されています。禅の教えでは「不安に実体などない」と言われています。坐禅を通して、不安は自分の心が勝手に作り出していると気づけるため、不安に効くと実感できるでしょう。
仕事から生じる雑念や悩み
生きていくうえでの大きな危機のひとつに、収入の減少を伴う出来事への遭遇があるでしょう。坐禅は、こうした経済の危機で将来が見えなくなったときにもおすすめです。
不確定な未来に思いを巡らせ、不安に襲われ自分を見失うと、よい対策も思い浮かびません。坐禅で、未来や過去でなく今この瞬間を味わうことで、目の前のことに全力を注ぐべしと気づくでしょう。今すべきことが見えたなら、そこに尽力すれば、結果として危機を脱することになるのです。
有名ビジネスマンも座禅の思想を取り入れている
マインドフルネス瞑想が、ビジネスに効くと一躍有名になりました。その理由に、スティーブジョブズや稲盛和夫ら有名経営者が、禅に傾倒していたと知られた背景があります。ビジネスパーソンの中でも、坐禅の習慣を持つ人が増えています。禅の思想はビジネスに大いに生かされているのです。
スティーブ・ジョブズは禅の教えを学んでいた
アップルの創業者スティーブ・ジョブズは、禅の思想をビジネスに取り入れました。余計なものをそぎ落とし、本質と向き合う観点から、アップル製品は作られています。ジョブズは、日本人僧侶に師事し禅を学び、日々坐禅を組んでいました。
坐禅で深い自己に触れ、自分が本当に望むものを徹底的に見ようとしたのだそう。ジョブズは、坐禅で磨いた決して数値化のできない感性で、世界を変えたのです。「坐禅で直感が花開く」との言葉が、それを物語っています。
稲盛和夫も禅に傾倒していた
京セラの創業者稲盛和夫氏も禅に傾倒し、リーダーシップ観に禅の教えを取り入れています。組織の者がついてくるリーダー像を、徳の高い人とし、利他の心を大切にしていると述べていました。経営で悩んだときはたびたびお寺を訪ねており、胃がんの手術を機に65歳で得度。
師から「あなたは仏道よりもビジネスでそれを生かしなさい」と言われ、再び経営に携わります。栄え財を成してなお、社会に貢献し続ける利他の精神や謙虚さと感謝を大切にした、経営姿勢です。
人間関係のトラブル
坐禅は、人間関係のトラブルを抱えている場合にもおすすめです。今、ここに集中すると、過去を思い煩わず、未来に憂いず、不安に囚われなくなります。同時に、他人からの影響や他人との比較からも解き放たれ、人間関係で思い悩むことも減ってきます。
他人と過去は変えられません。どうにもならないことをどうにかしようとするから、苦しくなるのです。変えることのできない他人を変えようとするより、自分自身に意識が向かうのも、楽になる大きな理由です。
禅で、生活が豊かになる
ここでいう豊かさとは経済的な豊かさではありません。生きることを充実させる豊かさです。座禅は今やっている一つのことに集中する作業です。座禅をきっかけに生活の一つひとつが充実し、心が豊かになっていきます。
ご飯が美味しくなる
同じご飯でも、よく噛んで、感謝して食べることで、美味しく贅沢な食事になっていきます。食べることは生活の基本ですから、生活が基礎から豊かになっていきます。
部屋がきれいになる
座禅を家でするようになると、家のちらかりが気になるようになり、掃除や片付けが進みます。
参考:捨て活実践記
没頭する時間が頭をリフレッシュする
座禅はただ座ることに集中します。禅は何でも自分ですることを勧奨し、それに集中することを促します。DIYやクラフトワークがそれです。こういう作業に没頭する時間は心と頭をリセットさせてくれます。
ただの空が
、嬉しく感じられる
禅はただ、そこにあるそのものの大切さを感じさせてくれるようになります。自然の風景、空や木々を美しく見せてくれるようになります。
とりあえず、実践してみる
オンライン座禅会を毎日開催しています。どなたでもご参加いただけます。説明会を合わせて開催中です。お気軽にご参加ください。
監修者:「日常実践の禅」編集部
日常生活のなかにある"禅"文化を探す活動をしています。「心に響く禅語」解説やオンライン座禅会を開催しています。
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