「金龍不守於寒潭」(きんりゅうかんたんをまもらず)の意味:すべての挑戦し続ける人に贈りたい禅語

金龍という言葉がインパクトのある言葉です。その後の漢字が難しいので、少し読み解く必要があります。

読み方

金龍(きんりゅう)、寒潭(かんたん)を守らず

意味

寒潭(かんたん)を深く静かな湖のような場所を意味します。

黄金の龍は、静かな湖に居続けることをしない、という意味になります。

含意

含意としては、志ある人物は、居心地のよいところに安住しようとはしない、という意味になります。

今やっと手にしたものを投げうってでも、新しいことに挑戦しようという人は、挑戦し続けない人にとっては、理解できない行動です。でもそういう挑戦を続けたいし、そういう人を応援したいものです。

北斎という金龍

江戸時代の浮世絵師、北斎は名前を30回も変えたことで知られています。アーティストですから、名前が売れてくれば、それだけ作品は売れやすくなります。しかし、求められる作品がこれまでの実績に則したものになってしまいます。新しい作風に挑戦するには、これまでの名前が邪魔になるというわけです。

名声という安住を捨てる

北斎は名前を捨てても新しい画風に挑戦したかったと言われています。実入りは減っても、創作を第一に考えたわけです。

Wikipedia

一度の改名だけでもかなりの労力ですが、それを重ねること、30回。晩年の80代まで意欲的に創作し続け、型破りな作品を作り続けるには、過去の自分の成功にとらわれずに、探求を続ける生き方が必要でした。「金龍不守於寒潭」です。

近い意味の禅語

不住青霄裏(せいしょうりにとどまらず)

得たものはすべて捨ててしまえ。青空よりももっと自由な境地を目指そう。颯爽と前に進み続ける清々しい生き方と覚悟を問う禅語。

学道如鑽火(がくどうは ひをきるがごとし)

いかに継続していくのか。具体的なイメージをもって示してくれる禅語。忍耐、工夫、準備。継続はただ続ければいいというわけでないという禅語。

まとめ

自分にとって大切なものは何なのか、新しい挑戦を続けた北斎のように、私たちも居心地のよい環境に踏みとどまらず、新しい世界を開拓しつづけたいものです。

金龍は湖でうろうろせずに、大空を舞ってこそ金龍です。大空を舞うことは湖に居るよりも大変ですが、それをやりたいのなら、それをやるべきなら、そうしようと湖からまずは飛び出すしかありません。

葛飾北斎「登り龍図」

<参考文献>

・「一行物」(芳賀幸四郎、淡交社)

岩下書店

<参考文献>

・「一行物」(芳賀幸四郎、淡交社)

岩下書店