「澗水松風悉説法」(かんすいしょうふう、ことごとくほうをとく):五感で平穏を感じよう
難しい7文字の禅語ですが、分解して読めば意味は簡単に理解できます。
読み方と意味
読み方
澗水(かんすい)松風(しょうふう)悉(ことごと)く、法(ほう)を説(と)く
意味
澗水は谷川の流れ、松林にうちつける風です。
それらが法を説いているといっているので、この語の意味は「自然の物事に、仏法が現れている」という意味になります。
使われ方
「澗水松風」だけで用いられることも多いです。ただ、それだけですと意味が分かりづらいので、理解するには「澗水松風悉説法」まで含めて上記のとおり理解する必要があります。
五感をさえぎるスマホ
感覚的にはこの語は“音”を重視しています。法を説くといっているので、それを聞くのは耳です。松風は明確に松林を通り抜ける風の音、谷川の流れも見るというよりは、川のせせらぎの音をイメージしています。
大自然に本来のものを見出し、耳を澄ませばよいと言っている背景には、多くの人が他人の講釈や話題、うわさ話、因習などに惑わされて本質を掴めていないという認識に立っています。今日でいえば、我々は多くの考えるべきこと、やるべきことよりも優先してスマホに時間を費やしています。スマホの利用時間は「2時間以上3時間未満」が最多だそうです。
https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/2112/21/news081.html
スマホ時間を減らす
これに対してそんなに時間を費やす必要はないと言っている人がいます。時間の使い方を変える具体的は方法として、スマホとの付き合い方を変えることを推奨しています。https://www.youtube.com/watch?v=Q6RgtFU5hdE
具体的な方法
・SNSやアプリは積極的に削除
・毎回ログアウトする
・プッシュ通知はOFF
・ホーム画面は空っぽにする
・ニュースは見なくてもいい
時間を使わせたいという見えないの意図
このような大胆方法の考え方の背景には、こうした仕組みを作っている人達の意図は「便利にしてどんどん時間を使ってもらう」ということがあります。この罠にはまってはならないと言っているわけです。
求められる自分の意思
話を元に戻すと、知っても知らなくてもよいネットニュースを見るのをやめて、近所を散歩したり山を散策して自分の感覚を取り戻そうということになります。情報に何かを求めるのではなく、自分自身を大切にするという考え方で、禅の基本的な考え方です。(例えば、自灯明など)
実践する
実践は上記のとおり、スマホ消費時間を減らすこと、そうして自然のなかで時間を過ごしてみることです。自然は山海に出かけずとも夜散歩をして夜風に吹かれるといったことでもOKです。SNSを見ているよりもずっとよいです。
ニュースも、「知らなければならない、知っておくべき」という強迫観念のようなものが情報発信者が作る前提の文脈になっていますが、週1でもニュースをチェックする程度でも問題なく生きていけます。全く見ずとも充実した生活を送ることはできます。上記の本ではむしろ見ない方が充実した人生につながるといっています。
まとめ
谷川の流れ、松林にうちつける風には真理があり、SNSやネットニュースにはそれがないという話をさせていただきました。澗水松風、ぜひ実践してみてください。
監修者:「日常実践の禅」編集部
日常生活のなかにある"禅"文化を探す活動をしています。「心に響く禅語」解説やオンライン座禅会を開催しています。
参考文献:「一行物」(芳賀幸四郎、淡交社)