「唯嫌揀択」(ゆいけんけんじゃく)の意味:えり好みをやめて、やることに集中しよう。評論よりも行動を

吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

読み方と意味

読み方

ゆいけんけんじゃく、と読みます。唯だ(ただ)、揀択(けんじゃく)を嫌うと読んでも構いません。

意味

揀択(けんじゃく)はえり好みをするという意味です。すなわち、唯嫌揀択は「ただえり好みをしなければいい」という意味になります。

出典

出典は僧璨「信心銘」です。

還流ドラマのタイトル

揀択(けんじゃく)は、韓国では李氏朝鮮時代の韓国の王室の女性を選ぶ行事の名称で、「カンテク」と読むそうです。(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8F%80%E6%8A%9E

そのまま、韓国のドラマになっているようです。
https://www.tv-tokyo.co.jp/kanteku/cast/1.html

浅はかの思考を避ける

具体的な人物やモノの分別もありますが、ここでは浅はかな思慮分別を退け、いわゆる小利口(目先の事で小才が利くこと。こざかしいこと)にならないようにと注意を促している語です。
「下手の考え休むに似たり」とも近い言葉かもしれません。

「評論家」になるくらいなら、とっとと間違ってもよいからやってしまえ、という気風が前提にあります。黙々と作業すること、果敢に挑めることの方が、こうやるべきか、どうやるべきかと戦略を立てているよりもはるかに貴いという考え方です。

「えり好み」は行動の停止

「えり好み」は行動の停止であり、これはいわゆる「悩んでいる」状態です。清流無間断、動き続けていることが重要です。

例として高校生の悩みをみてみましょう。

1位高校卒業後の進路について
2位大学受験について
3位自身の学力について
4位日々の勉強について
5位自身の容姿・スタイル

https://school.js88.com/koukousei/onayami/ranking

勉強に関する悩みが上位を占めますが、要するにその後の進路に対する不安が悩みの原因になっています。対処方法は簡単で「どうなろうとも気にしない、考えてもどうにもならない」と思慮を止めて、ただ勉強すればよいはずです。大人になればことですが、大人は大人でまた悩み続けます。

近い意味の言葉

無着(むじゃく)

着は執着、すなわち執着するなという禅語。

担板漢(たんばんかん)

板を肩に担いで視界が狭まった男、を示す禅語。人は皆、何かしらを担いで物事が見えなくなっています。

両忘(りょうぼう)

両方忘れるという意味で、りょうぼうと読みます。何を両方忘れるのかというと、対立する2つの概念ということになります。例えば、豊かさも貧しさも気にしないということです。

まとめ

「えり好みしない」という覚悟が、ふっきれた行動と集中につながり、爽快な毎日をもたらしてくれはずです。実際、出典の信心銘には、「唯嫌揀擇なら、洞然明白」と書かれています。

屈託のない心持ちで過ごしたいものです。(屈託:ある事が気になってくよくよすること。)