「別是一家風」(べつにこれいっかふう)の意味:私もOK、あなたもOK。それぞれ自分らしくという禅語

読み方と意味

読み方

  • べつにこれ、いっかのふう
  • べつにこれ、いっかふう

意味

それぞれのやり方があるということ。

禅宗にも宗派がいくつもありますし、茶道・華道にも家元がいて、それぞれやり方は違います。
どちらが正しいということでもなく、どちらが正道・邪道でもないはずです。
究極的には人それぞれのやり方があるという考え方に行きつきます。

含意の探索

物事には前後があり、系譜がありますが、仏教に通底する考え方として、権威や中心を認めないということがあります。こちらが本家で正統、あちらは分家でちょっと違う、とは考えません。それぞれがそれぞれで、それぞれらしくしていることで世界が成立しているという考え方です。多様性、ダイバシティと同じ考え方です。

インターネット的世界観と近しい

中心がなく、ネットワーク構造による分散的な世界観はインターネットの技術思想、ブロックチェーンの技術思想の同じです。インターネットには大本家のようなものがなく、フラットな構造で権威のない世界が実現しています。

20世紀のマスメディアという権威から個人の時代へ

ブログやSNSなどで人々が自由に情報や意見を発信することができるようになり、メディアという権威に頼る必要がなくなっています。それぞれが主体である、まさに別是一家風です。

主眼を個人に置く思想

禅の基本は徹底自力であり、個人がとても重要です。自分が自分を信じることから世界は成り立って行くという考え方で、こういう哲学の別表現が、別是一家風と言えます。

<自分を大切にする禅語>

自灯明
随所に主となる
自己信頼

まとめ

  • あなたのやり方に対する他人からの批判に対しては、

「別是一家風」でやり過ごしましょう。

  • 理解できない他人のやり方にも、

「別是一家風」でやり過ごしことにしましょう。

全体としてみれば、それぞれの個性が尊重された魅力的な関係性(社会)になっているはずです。

参考文献:「一行物」(芳賀幸四郎、淡交社)

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