左右逢源の意味「左右いずれも同じところから始まる」
どちらに行っても道を踏み外さない悟りの境地
(さううほうげん)
「左右逢源」は儒教由来の悟りの境地を表わした言葉で、禅の文脈でも同じ意味で用いられます。
どうすればよいか、私とはどうあるべきか、そんな問いに答えてくれる言葉でもあります。
読み方
「左右逢源」は「さゆうほうげん」と読みます。
「さゆうみなもとにあう」と訓読みしても構いません。
「ひだりもみぎもみなもとにあう」と丁寧な訓読みもOKです。
出典
『孟子』離婁(りろう)です。
禅語の出典にはいくつかのパターンがありますが、「左右逢源」は『孟子』が出典ということで、いわゆる禅書に拠らない禅語となります。
- 禅書に由来するもの
- 詩句から取り出したもの
- 故事成語から取り出したもの
原文の確認
読み下し文
君子深く之に造るに道を以てするは、
其の之を自得せんことを欲すればなり。
之を自得すれば則ち之に居ること安し。
之に居ること安ければ則ち之に資ること深し。
之に資ること深ければ、則ち之を左右に取るに其の源に逢う
。
故に君子は其の之を自得するを欲するなり。
意味
道を深く得るには、まずはこれを望むことが必要だ。
道を得ることができれば、道に留まることは容易である。
道に留まることが容易であれば、道を操ることができる。
道を操ることができれば、左右どちらに進んでも同じ源に行きつく
。
ゆえに立派な人物は道を得ようと望むものだ。
解説
左右は、みぎひだりの意味ではなく、「どちらであっても」という意味です。
源とは悟りを得た人、或いはその人の精神をを指します。
つまり、そのように道(悟り)を得た人は、何をやってもその心が反映されて正しい行いになる、という意味になります。
儒家の言葉ですが、禅でも同じ意味でこの語を用います。まさに左右逢源に合うといえます。
使ってみる
原文では悟りを得る言葉出来ればという条件付きですが、右に行っても左にいっても同じところに行きつくと言ってくれています。
ですから、足踏みせずにどんどん進んでいく方がよいということになります。
【例文】人に贈る言葉として
失意の人に
「左右逢源。目先の失敗を気にせず、邁進すること。詰まるところ、同じところに行きつきます。」
ひと時の別れに際して
「左右逢源。今回は意見が分かれて別々の道を歩むことになったが、先々また一緒になれると思っています。」
挑戦する人に
「左右逢源。未経験でも意思があるなら思い切って挑戦してみるのがよいと思います。やりたいというあなた自身が最も重要で、周囲の意見は関係ありません。」
禅問答に挑戦する
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意味の拡張
悟った人は誰でも同じ境地に至るという意味で、どのような経路を辿っても同じところに行きつくという意味で捉えることもできます。
あるいは、自分の行いというのはどのように飛躍してやったつもりでも、自分の範疇を出ないという意味として用いることもできます。
どんどんやってみて構わない
どれほど飛躍したつもりでも自分自身を超越した行いはできないという意味を前述しました。
この意味でいくと、思い切った行動や挑戦もどんどんやってみて構わないという含意を引き出すことができます。
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自分らしく。一貫性を気にしない
自分らしさ、周囲の一貫性への期待に沿おうと気を回す必要はなく、どこまで行っても自分は自分だと安心させてくれる言葉として用いることができます。
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まとめ
どの道も同じところに行きつく、何をやっても私は私、心に平静を与えてくれるのが禅のことばです。
禅は人に安らかな気持ちを与えることが目的の宗教です。
日常生活のなかにある"禅"文化を探す活動をしています。「心に響く禅語」解説やオンライン座禅会を開催しています。
引用・参考文献:
・『一行物』(芳賀幸四郎、淡交社)
画像の一部:
・「pixabay」
・「photoAC」
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