雨洗風磨(うせんふうま)
時の流れが本質を明らかにする
文字通り、雨や風にさらされて美しく磨かれているさまを示しています。
転じて、長年の努力を勧奨する言葉として用いられることがあります。
禅では基本的に辛苦努力や長年の我慢継続を勧めません。
その意味では、この語はあまり禅語らしい禅語ではありません。
禅語として用いられることは少ないかと思います。
時間の経過が本質を明らかにする
「侘び」は枯淡、脱俗の美意識とされます。
時間の経過とともに、余計なものがそぎ落とされて、明らかになった“本質”の美しさという人もいます。
使うほど、魅力を増す道具
道具も使うほど、味の出る道具があります。
丁寧に作られたものは、時間の経過がそのものの良さを引き立たせてくれます。
時間が磨く部屋
家であっても、どれほど古くとも、清潔さを保ち磨き掃き清めていると、新築の家にはない美しさと心地よさが出てきます。
丁寧に設計して構築された家は、その後の使い方次第でどんどん魅力が高まっていきます。
古い町の心地よさ
街も同じことが言えるかと思います。
人々が調和しうまく共生している街は、その時間が経つほど、時代の変化に関わらず、人を惹きつける光を帯びてきます。
人間も同じ
年齢の積み重ねが、その人独自の魅力を明らかにしていくことがあります。
どのような時間を過ごしたのかと同時に、幼少期に培われた本質の部分が大きく影響しているように思います。
持って生まれた根源的な力は、年齢とともに消え失せるのではなく、時間の経過とともにより力強く発揮されることもよくあります。
この語の季節
雨の多い6月、ないし強い風雨を伴う台風の多い季節がよさそうです。
長雨、台風に際して、苦難に我慢・努力するのではなく、苦難が自分の強さ・魅力を明らかにするのだから安心だと、心の落ち着きを与えてくれる言葉として捉えます。
大丈夫であると、結果自然成ると。
わび・さびの美
雨、風に負けずに頑張るという自己啓発の言葉としてよりも、雨、風にさらされて持っていた本質が明らかになって美しさを放つというように取ると、侘びの感性で禅の文脈に近づけて理解できます。
まとめ
逆境が人の本質を明らかにしてくれます。
平時にあった余計なものが雨に流され、風に飛ばされ、何が明らかになるのか、何も残らないのか。
ワクワクするような、怖いような言葉とも言えます。
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