雲外一閑身(うんがいのいちかんしん)の意味
原文
南宋末の禅僧雲外の『雲外雲岫禅師語録』のこちらの一節が元になっているとされています。
三十余年無故人
只留雲外伴閑身
書き下し文
三十余年故人なし
ただ雲外に留まりて閑身を伴う
意味
30年以上、旧友と合っていない。
雲の外に身を置いて、静かに過ごしてきた。
「雲外一閑身」の意味
禅語においては時に「雲」は悟りを妨げるものの意味で用いられることがあります。
「閑」は、ひまの意味もありますが、ここでは「のんびりと落ち着く」「ひっそりと静か」の意味です。
「閑居」や「閑静」と同じ意味で「閑」を用います。
イメージとしては、「すっかりと煩悩の雲から抜け出して、静かに一人暮らす」という感じです。
一人暮らしのところを、一人旅、一人酒に置き換えても捉えても構いません。
「雲」の禅語
- 雲去青山露(くもさってせいざんあらわる)
- 萬里無片雲(ばんりへんうんなし)
- 無山不帯雲(やまとしてくもをおびざるはなし)
- 雲外一声雁(うんがいいっせいのかり)
- 雲開日影新(くもひらきにちえいあらたなり)
- 雲外渓声(うんがいけいせい)
- 雲外一閑身(うんがいいちかんしん)
「雲外一閑身」の深い意味
ただし、禅語「一」は、一人ではなく、しっかりと自分自身と向き合った自己を表わすことがあります。
したがって、必ずしも一人暮らしをするという意味ではなく、「すっかりと煩悩の雲から抜け出して、自分自身を全うする私」という意味で捉えることになります。
ただ仙人のように一人山中に暮らすような情景を思い浮かべてもよいですが、これをやると決めて全力で取り組む姿もまた、「雲外一閑身」ということになります。
禅における煩悩とは「今やっていること」以外を考えることです。
「莫妄想」(まくもうぞう)、「思無邪」(おもいよこしまなし)の状態であり、今だけに集中する「而今」(じこん)の状態とも言えます。
禅におけるもっともシンプルな「すっかりと煩悩の雲から抜け出して、自分自身を全うする私」は、「ただ呼吸に集中する」座禅です。
これに限らず、ご飯を食べるととに集中する、掃除に集中するなども、「雲外一閑身」の姿ということになります。
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禅語は基本的に短いものが多く、しかしながら意味が深いのが特徴です。
突き詰めると、たった一字でも味わい深い意味が生じるのが禅の世界です。
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- 「一」:一とは自分自身のこと
- 「風」:目に見えない、とどまらないもの
- 「月」:禅では悟りの喩え
- 「夢」:一切は夢という現実
- 「無」:無を強調するのは禅の特長
- 「道」:道とはすなわち禅の道
- 「雪」:禅は冬の宗教
- 「心」:何はなくとも心が大切と考えるのが禅
- 「坐」:座禅が“禅”の基本。しかし執着はしない。
- 「雲」:消え去る雲に捕らわれるな
- 「山」:静寂にして不動
- 「花」:何も考えずに生き抜く美しさ
- 「茶」:日常生活のメタファー(たとえ)
- 「水」:老荘の影響を受けて水は良きもの。川を意味する。
- 「喝!」:最も短いアドバイスの言葉
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