水鳥樹林念佛念法(すいちょうじゅりん ねんぶつねんぽう)
仏に満たされている自然。小さな自然はどこにでもある。
美しい自然の情景に、仏を見出し、真理を見出すという禅らしい、また仏教らしい言葉です。
ただ自然への憧憬を深めるだけでなく、今日どこにあっても自然を感じられるように工夫してみたいものです。
意味
鳥や木々が、仏を念じ、法を唱えているという禅語です。
自然のあらゆるものに仏性が宿るということを意味しています。
同じ意味の言葉
「水鳥樹林皆念仏」と用いられることもありますが意味は同じです。
また、同じ意味を表す禅語がいくつもあります。
季節やシチュエーションで使い分けるのがよいかと思います。
「水鳥樹林念佛念法」は夏
涼しさが感じられる言葉なので、夏がよさそうです。
ほかの類する言葉も夏がふさわしいものが多いようです。
逆に冬の自然は、禅では別の意味合いで対峙することが多く、春・秋も夏の開放的な自然美とは違う、情緒ある文脈が引き出されることが多いです。
- 渓声山色(けいせいさんしょく)
- 水声山色(すいせいさんしょく)
- 山光水色(さんこうすいしょく)
- 澗水松風悉説法(かんすいしょうふう ことごとくほうをとく)
- 蛙鳴蝉噪是仏声(あめいせんそう これぶっしょう)
- 山川草木悉皆成仏(さんせんそうもくしっかいじょうぶつ)
- 雨竹風松皆説禅(うちくふうしょう みなぜんをとく)
- 古松談般若 幽鳥弄眞如(こしょうはんにゃをだんじ ゆうちょうしんにょをろうず)
大自然で心が洗われる
大自然のなかに入れば、誰でも自分の自然の一部と感じ、リラックスしてくるかと思います。
自然の木々や小鳥のさえずりに心を洗われていくような感覚です。
実際の生活ではなかなかそのような体験はしづらいかもしれません。
大自然でなくても、“自然”はある
しかし、注意深く自然を探し、ささやかな自然に大いなる自然を見出すことができれば、同様の効果を得られることと思います。
あるいは大自然のなかにいて感じること以上に、あなたにとって大きな力となるかもしれません。
屋上で“風”を感じてみよう
風を感じて、そして陽の光を浴びることは、気分転換として効果的です。
「無一物中無尽蔵」という言葉があります。
ほんのわずかなものから無限の自然を感じ取れたら、「無一物中無尽蔵」ということになります。
つまり、目の前のモノの量は関係ないということです。
小さな観葉植物の声を聞いてみよう
ほんの小さな自然物ですが、時に水をやり、時に声をかけて、やさしく育ててみましょう。
「庭前柏樹子(ていぜんのはくじゅし)」という禅問答があります。
目の前の小さな植物とどう向き合うかは、以外の奥が深い禅の問いであり、答えだったりします。
“月”の夜を楽しむ
日中の喧騒より静かな夜に、夜空を眺めてみましょう。
都会の星空は弱い光かもしれませんが、弱い光に大宇宙を感じられたなら、田舎の満天の星空で感じること以上の禅力があるとも言えるでしょう。
月が出ていれば、なおよしです。
満ち欠けし、時に雲に光をさえぎられる月は、禅の文脈では悟りのメタファーとして用いられることがよくあります。
街路樹を楽しむ
木々はどこにでもあります。
大都会であっても街路樹はあり、花壇なども手入れされている場所もあります。
大自然の中と比べればごくささやかですが、その”ほんのわずか”に光を見出すことは、侘び・さびに世界とも言えます。
「藁(わら)屋に名馬をつなぎたるがよし」という珠光の言葉もあります。
詫びた藁屋につながれた名馬、大都会の咲く花。
禅の美学に接近できます。
まとめ
大自然に仏性を見出す言葉「水鳥樹林念佛念法」から、いかに日常生活のなかで自然を見出すかを考えてみました。
実際には大自然のなかにいなくても、大いに自然と触れ合い、仏の心に触れることができると思います。
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禅は空理空論を避け、日々の実践を志向します。
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禅語は基本的に短いものが多く、しかしながら意味が深いのが特徴です。
突き詰めると、たった一字でも味わい深い意味が生じるのが禅の世界です。
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- 「一」:一とは自分自身のこと
- 「風」:目に見えない、とどまらないもの
- 「月」:禅では悟りの喩え
- 「夢」:一切は夢という現実
- 「無」:無を強調するのは禅の特長
- 「道」:道とはすなわち禅の道
- 「雪」:禅は冬の宗教
- 「心」:何はなくとも心が大切と考えるのが禅
- 「坐」:座禅が“禅”の基本。しかし執着はしない。
- 「雲」:消え去る雲に捕らわれるな
- 「山」:静寂にして不動
- 「花」:何も考えずに生き抜く美しさ
- 「茶」:日常生活のメタファー(たとえ)
- 「水」:老荘の影響を受けて水は良きもの。川を意味する。
- 「喝!」:最も短いアドバイスの言葉
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